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◆PART1 おかしいな？と家族が気づいたら 対策1 人前では普通にできても要注意 ？ 妻の内と外の顔が異なり、どうしたらよいか悩んでいます。［75歳・男性】 私と妻（69歳）はともに深刻な持病はなく、夫婦一緒に長く住み慣れた広島県内で元気に暮らしています。会話中に「あれ」「あの人」など、物や人の名前がすぐに思い出せないことが多いのはお互いさまです。しかし近ごろ、妻の物忘れがとくにひどくなっていることに気づきました。 たとえば、友人との約束をすっかり忘れ、「待っているけれど、どうしたの？」と電話があってから、あわてて家を出るようなことが増えました。車で出かける際にキーをどこに置いたか探しまわることは、何時もです。それに、ガスコンロの火がついたままなのを忘れ、何度か鍋を焦がしたこともあり、危ないのでコンロをIH式（電磁調理器）に替えました……。 △アドバイス この男性のように、奥様の状態を気にしつつも、その症状が見きわめられないために、病院へ連れて行くのをためらっている人は多いかもしれません。しかし、この奥様は、すでに中等度まで進行したアルツハイマー型認知症が疑われます。車のキーに限らず、おそらく玄関の鍵や財布など、たびたび探し物をしていたり、「あなたが持っているのでは？」と夫を疑うこともあると思います。 年をとれば誰でも、物忘れをしやすくなりますが、老化による物忘れの場合、人から指摘を受けたり、ゆっくりと時間をかければ、忘れた内容を思い出せます。つまり、記憶としては残っているのです。 しかし、認知症が進行すると、見たり聞いたり、体験した記憶自体が残っていません。そのため、人から指摘されても思い出せませんし、逆に、その人が変なことを言っているとしか思えないのです。この奥様が「大事なことは忘れていません」と言うのは、自分ではそう信じているからです。認知症でも初期段階なら、物忘れを自覚できますが、今はその時期をすぎてしまった可能性があります……。 この奥様も早く専門医に診てもらい、治療を始める必要があります。たとえ親族の理解が得られず、「身内を病人扱いするな」と言われるようなことがあっても、悩まずに受診するようにして下さい。 ◇アルツハイマー型認知症の原因と特徴 △原因 脳内にアミロイドβタンパクという物質が蓄積し、老人斑というシミができる。 ⇒タウタンパクが変化して神経原線維変化をつくり、脳細胞が弱ったり死滅しかける。 ⇒アセチルコリンという神程伝達物資が減少し、認知障害が起こる。 脳内で記憶をつかさどる海馬が最初に萎縮。最近のことを忘れやすくなる。 進行すると側頭葉や頭頂葉に萎縮が広がり、判断力や実行機能などが障害される。 △特徴 物忘れがひどくなり、最近のことから分からなくなる。 発症時期がハッキリせず、ゆるやかに進行する。 嗅神経が障害を受け、臭いが分からなくなる。 初期段階ではうつ的になり、ある程度進行すると楽観的になる。 女性の方が男性より1.5〜2倍ほど多い。 取りつくろい現象と振り向き動作。 物盗られ妄想。 |