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◆PART2 近ごろどうも変！ と自覚したら 対策5 早めの受診で発症や進行を予防する ？ 認知症と診断されるのが怖くて受診できません。［64歳・男性］ 私は5年前に妻を亡くしましたが、その半年後には愛知県内の自宅に息子の家族が同居してくれることになりました。息子夫婦は子どもが生まれたばかりで、住んでいたマンションが手狭になり、ちょうどよいタイミングでした。 私は60歳で退職してからは、幼稚園児の孫の面倒をみたり、近所の書道教室に通うなど、毎日を有意義に過ごしています。しかし、ここ1ヶ月ほど前から、自分が何となくおかしいと感じることがあります。 たとえば、車で孫を幼稚園へ送ろうと運転している途中で、そのルートが急におばろげになったことがありました。左折すべきところを直進してしまい、しばらくして、何時もの風景と違うのを不審に思った、孫から「どこ行くの？」と言われて気づき、Uターンしてようやく幼稚園にたどり着くことができました……。 △アドバイス 「認知症は怖い」と思うのは、発見が遅すぎるからです。予備群のうちに見つけて、脳を活性化すれば予防できます。 認知症は、高齢者にとって「最もなりたくない病気にあげられ、怖がられています。発見が遅れると症状が悪化して、介護する家族に大きな負担をかけることがあるからです。 確かに認知症は、家族の顔や名前が分からなくなったり、徘徊や暴力を繰り返したり、介助なしではトイレや入浴もできなくなることがあります。しかし、それはあくまで発見が遅れ、治療が間に合わずに症状が進行してしまった場合です。 早期に発見し、適切なケアや治療をすれば、症状の進行を抑えて、長く穏やかに暮らせる可能性が高くなります。ですから診断を恐れて早期発見のチャンスを逃してはいけません。健康診断を受けるつもりで、できれば1年に1回は検査を受けるのが理想的です。 ◇FAST（Functional Assessment Staging）によるアルツハイマー型認知症の経過 (1) 正常 ‐ 主観的にも客観的にも機能低下なし。 (2) 年齢相応 ‐ 物の置き忘れの訴え、喚語困難。 (3) 軽度認知障害（MCI）：境界状態 ‐ 他人が見て分かる仕事の能力低下、日常生活では機能低下は顕在化しない。 (4) アルツハイマー型認知症（AD）：軽度 ‐ 社会生活・対人関係では支障あり、日常生活ではほぼ介助不要、計画・段取りをつけられない、時間の見当識障害、うつ状態が起きやすい、服薬管理は困難、カードでの買い物や銀行の通帳の取り扱いは困難、近所で簡単な買い物はできる、特定の相手であれば電話できる。 ↓ 治療しないまま放置すると、2年後 (5) アルツハイマー型認知症（AD）：中等度 ‐ 日常生活でも介助が必要、気候に合った服を選んで着られない、理由なく着替えや入浴をいやがる、場所の見当識障害、一人で外出して警察などに保護される。 ↓ 1年半 (6) アルツハイマー型認知症（AD）：やや高度 ‐ 不適切な着衣、靴ひも・ネクタイは結べない、入浴しても洗髪は困難、湯温や湯量の調節ができない、人物の見当識障害。 ↓ 2年 (6) アルツハイマー型認知症（AD）：高度 ‐ 日常生活で常に介助が必要、同居している家族の顔が分からない、簡単な指示も理解できない。 出典：日本認知症予防学会 認知症予防専門士講座資料から作成 |