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◆PART3 まさかこの症状が…と思っても 対策9 不安感や幻覚・幻聴の訴えは親身に聞く ？ 不安を訴える母は認知症でした。早く気づいてやれず申し訳なくて…。［55歳・男性］ 82歳の母は、81歳の父と神奈川県内でマンション暮らしをしています。都内にある私の自宅からは車で1時間ほどの距離です。 半年ほど前からは、母は、しばしば「さびしい」、「不安」と訴えるようになりました。同居する父も対応に困っています。私も休みのたびに母を訪ね、話を聞いてなだめて帰ってきます。同じ話を何度も聞かされますが、ひたすら我慢して聞き役に徹しています。母は私の訪問を喜んでくれるのですが、かといって一向に状態はよくならず、解決策のないままの往復2時間は私にとって苦痛です。 母は理解しがたい頑固さに加え、さらに最近は些細なことに対しても怒りっぽくなり、とくに父への叱責がひどくなりました。見かねて、私が母に乱暴な言葉使いをしてしまうことも。 しかし、先日母が「耳元で昔の軍歌が聞こえてきて、気味が悪い」と言いだしたので、覚悟を決めて精神科を訪ねました。 検査の結果、レビー小体型の認知症の疑いがあると医師から告げられました。 母の物忘れがひどいと感じたことはなく、まさか認知症とは母も私も思っていませんでした。これまでの母の訴えが認知症によるものだとしたら、もっと早く受診させればよかったと、母に申し訳なく残念でなりません。 △アドバイス 幻覚や幻聴を伴うのが、レビー小体型認知症の特徴です。話を否定も肯定もせず、親身に聞いて上げましょう。 レビー小体型は、脳の神経細胞が変性して発症するタイプの認知症です。神経細胞の中に球形状の「レビー小体」が多数出現し、アルツハイマー型と同様、海馬が萎縮して記憶障害が起こります。アルツハイマー型と異なるのは、初期では物忘れは目立たないことが多く、うつ症状や被害妄想が多く現れます。また、後頭葉の血流が低下するため、幻覚を見たり幻聴を聞いたりするのが特徴です。 現実にはいない人や物が見えると言われたら、まず疑ってみましょう。いやな夢を見て夜中に起きるなど、睡眠障害が現れることもあります。この事例の男性が、お母様から「軍歌が聞こえる」と聞いてすぐに精神科を受診したのは、適切な判断と思います。 幻覚や幻聴に対し、家族が聞く耳をもたず、本人の訴えを頭ごなしに否定していると、発見が遅れるばかりか、症状がどんどんひどくなります。どんな幻覚や幻聴だったのか、できるだけ親身になって話を聞いて上げて下さい。 不安感が治まれば、幻覚や幻聴も少なくなります。 気持ちを落ち着かせ、夜にぐっすり眠れるようにするには、アロマセラピーも効果的です。なお、現在、正式に厚生労働省から認可されてはいませんが、アルツハイマー型の治療薬であるアリセプトが、レビー小体型の治療にも有効と報告されています。 |