|
◆PART5 どうしたらいいの…と悩んだら 対策14 介護保険の申請も選択肢に ？ 突然怒りだし、暴力をふるうようになった父に母がおびえて…。［37歳・男性］ 高知県で暮らす父は70歳で母は68歳。私は就職して実家を離れて15年になり、大阪府内に妻と息子が住んでいます。この2年間、私は中国・上海へ単身赴任で、大阪の自宅に帰ることはあっても、実家へf 行くこともなく、ほとんど連絡もしていませんでした。しかし、冬になって海外駐在先へ母から「お父さんの様子がおかしい。一緒に住むのが怖い」との手紙が届き、驚きました。 そして、年末年始の休暇で帰国してすぐ、大阪の自宅から実家へ電話すると、父が出て「こっちは母さんと仲よくやっている。中国での暮らしはどうだ」と元気な声でいろいろ聞いてきました。そして母に代わってもらうと「2人とも元気だよ」と言葉少なめで、すぐに電話が切れました……。 △アドバイス 暴言や暴力が増えるのは認知症の周辺症状です。介護保険の利用を申請し、少しでも介護の負担を軽くして下さい。 何度も同じ話を繰り返したり、車検のことを忘れていたり、テレビのリモコン操作ができないことなどから、お父様は認知症が疑われます。専門医を受診し、治壊を始めた方がよいでしょう。。こうした症状は、認知症の中核症状と呼ばれ、脳の病変によって起こります。これに対し、お母棟を怖がらせている暴言や暴力は、周辺症状と呼ばれ、中核症状に精神的な不安や混乱、ストレスなどが加わって起こるものです。 ◇介護保険サービスを利用するまでの流れ (1) 申請 介護保険サービスを利用するには、市区町村に申請し、介護が必要との認定を受ける必要がある。まずは地域包括支援センター（注1）に相談するとよい。申請を代行してもらうこともできる。 (2) 調査 ①認定調査 調査員が家庭を訪問し、調査票の項目に沿って、介護を必要とする人の心身の状況や動作を調べる。 アルツハイマー型の人は、調査員の質問に対し「ちゃんとできます。私はどこも悪くない」と言うことがあるため、家族が同席するか、別の機会を設けて正しく状況を説明すること。 ②医師の意見書 市区町村などの依頼に応じ、医師が医学的な見地から意見書を作成する。 このとき、医師が認知症の人や家族の日常の状況をよく把握していないと、具体的にどのような支援が必要なのかを記載できない。適切な認定を受けるためには、申請前に医師に相談し、申請の趣旨を伝えること。 (3) 認定 介護認定審査会が、認定調査結果と医師の意見書をもとに、介護を必要とする度合いを認定する。 「要支援1、2」「要介護1～5」「非該当」の区分があり、要介護度が高くなるほど、サービスを利用できる上限額が高くなる。 なお、認定後に症状が悪化した際には、認定の変更申請ができる。ケアマネージャー（注2）が申請を代行する場合が多いが、治療とも関係するため、医師に報告や相談することも忘れないように注意。 (4) 介護サービス計画作成 ケアマネージャーが、どのサービスをどのくらい利用するかという介護サービス計画（ケアプラン）を作成する。家族は遠慮せずにケアマネージャーに要望をしっかりと伝えること。 ケアプランに基づいてサービスを利用。在宅で利用できる主なサービスは次の項を参照のこと。 ※注1：地域包括支援センター 認知症の人が住み慣れた街で自分らしい暮らしを続けられるよう支援するための総合窓口。介護保険サービスの利用やケアマネージャーの紹介、虐待の相談（対策16参照）、成年後見制度の紹介（対策17参照）なども受け付けている。 ※注2：ケアマネージャー 介護保険サービスをサポートするプランナー。利用者のニーズに合わせ、適切なサービスを選んで紹介するなど、利用者とサービス事業者との連絡・調整役を担う。 |