|
◆PART5 どうしたらいいの…と悩んだら 対策15 認知症の人には優しさと思いやりを ？ トイレにも失敗し、症状が悪化する父。情けなく、もう無理、との思いも。［40歳・女性］ 半年ほど前、74歳の父が中等度のアルツハイマー型認知症と診断されました。私は大阪府内にある会社に勤め、一人暮らしをしていましたが、退社して京都府の実家で父の介護をすることにしました。68歳の母が同居しているのですが、体が弱く、一人で父の面倒をみることはできないと頼まれたからです。 実家に帰った最初の日、父は私をあたたかく迎えてくれました。しかし、私がこれから一緒に住むとは思っていないようで、変だなと思いました。そして夕食のとき、いろいろと話しかけているうちに、父はだんだんと不機嫌になり、食事の途中で席を立って部屋に戻っていきました。母に「何か変なこと言ったかな？」と聞くと、母は「いつもそうだよ」と言ってため息をついていました……。 △アドバイス 家族の叱責や指導が、認知症の人々を傷つけ、症状を悪化させます。本人の気持ちを考え、思いやりを忘れずにいて下さい。 認知症が進行すると、物忘れ以外のさまざまな症状が現れ、日常生活に支障をきたすようになります。このお父様が、トイレが間に合わなくなったのは、判断力の低下からトイレの場所が分からなくなっているか、便意を感じにくくなっているからと考えられます。 汚れた下着を隠すのは、それを見られるのが恥ずかしいからです。認知症になっても、人間としてのプライドはあります。後始末をする家族もつらいでしょうが、険しい表情は見せずに対処してください。 ◇在宅介護向けの主な介護保険サービス (1) デイサービス（通所介護） 施設で日帰りで受けられるサービス。食事や入浴などのほか、娯楽や運動などのプログラムに参加できる。車で送迎してくれる施設も多い。 (2) デイケア（通所リハビリテーション） デイサービスと同様の日帰りのサービスで、運動機能のリハビリテーションが追加される。 (3) ショートステイ（短期入所） 一時的に施設に入居して介護を受けられるサービス。介護者が病気になったり、旅行するときなどにも利用できる。 (4) 訪問介護・訪問看護 訪問介護はホームヘルパーが自宅を訪問し、食事やトイレなどの介助や家事を援助。訪問着護は看護師が、症状のチェックや医療的な処置をする。 (5) 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 2012年4月の介護保険法改正により創設。日中・夜間を通じて、訪問介護と訪問看護が連携しながら自宅へ定期巡回訪問し、随時の対応を行う。 (6) 福祉用具の購入・レンタル 介護用ベッドや車いすなど、在宅介護で必要な生活道具の給付や貸与を受けられる。 ※介護保険法の改正によって、サービスの内容に変更が生じる場合があります。 ※地域によってサービスの内容が異なったり、介護保険以外の公的な福祉サービスを利用できることもあります。市町村の担当窓口や地域包括支援センターにご相談下さい。 |