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◆PART5 どうしたらいいの…と悩んだら 対策17 財産管理が不安なら成年後見制度も ？ 自分の記憶があいまいになっていて、だまされたりしないか不安です。［63歳・女性］ 私たち夫婦には子どもはおらず、夫と老後をのんびり過ごすことを楽しみにしていましたが、3年前に夫は突然亡くなりました。それ以来、東京都郊外の自宅で一人暮らしをしています。ここに私たちが新居を構えた30年ほど前は、若い家族の多い新興住宅街でしたが、今では高齢者の方が多くなっています。でも、同じ年代の、似た境遇の人たちが多く住んでいて、友人たちと毎日のように会っているので、それほどさびしさは感じません。 それよりも困っているのは、最近、自分の記憶が非常にあいまいになっていることです。トイレットペーパーが残り少なかったと思って買って帰ると、何時の間に買っていたのか、家にはすでに何パックも山積みの状態でした。シャンプーや化粧水、乾電池や電球なども、ストックばかりです。 もともと計算には弱いのですが、財布の中のお金を上手に数えられなくなったのは最近です。レジでいざお金を払おうとすると700円なら500円玉1枚と100円玉を2枚という当たり前のことがとっさに分からなくなります。後ろに並ぶ人を待たせないよう、お札で払ってお釣りを受け取るため、小銭が大量に増えてきました。 先日、生命保険の会社から、契約した覚えのない保険証券が送られてきました。 不思議に思って保険会社に電話したところ、「先月、ご契約をいただきました」とのこと。「そんな覚えはありませんが」と言うと、営業の女性がわざわざ自宅に来てくれました……。 △アドバイス 認知症になると、買い物や契約などのトラブルが生じやすくなります。成年後見人制度の活用も検討して下さい。 認知症になると、物忘れや判断力の低下から、同じ物をいくつも購入したり、金額の計算ができなくなったり、日常の買い物に支障が出るようになります。この女性の状況を見ると、中等度まで進行した認知症が疑われます。まずは、医師の診察を受けることが大切です。 症状が進行した場合、この女性が不安に思う通り、不要な商品を大量に購入したり 自分の不利益に気づかず悪質商法の被害に遭うなどして、大金を失う危険があります。実際に、認知症の人を狙ったリフォームや高価な布団、着物などの訪問販売が問題になっています。アルツハイマー型の場合はとくに、相手の話を理解できていなくても、言われるまま購入してしまいがちだからです。 悪質商法のトラブルについては、全国の消費生活センターなどで相談を受け付けています。しかし、望ましいのは、被害を受ける前に誰かが気づいて助けてくれることです。隣近所に住む親しい人と助け合うのも大切ですし、地域包括支援センターに相談し、公的な支援制度や、民生委員やボランティアなどを含めた地域での見守りを考えてもらうとよいでしょう。 |