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◆PART5 どうしたらいいの…と悩んだら 対策18 地域の予防教室に積極的な参加を ？ 予防の効果とともに、認知症への偏見や無関心も実感しています。［地域包括支援センター勤務 看護師］ 私は、鳥取県内の地域包括支援センターに勤務する看護師です。介護保険や成年後見制度などの紹介、虐待の早期発見・防止など、地域の高齢者やそのご家族のさまざまな相談に応じています。 今後も地域主体の予防教室を開催していきたいと考えていますが、地域に理解を求めるうえで、認知症への偏見や無関心を感じずにはいられません。「認知症の人とかかわりたくない」、「自分には関係ない」と思っている人がまだまだ多いようです。また、予防教室参加者の中にも、自分が認知症予備群であることを受け入れられない人や、知っている人がいるとかえって参加しづらいと感じた人もいました。 偏見と無関心を払拭し、早期発見と予防の取り組みができる地域づくりを進めていきたいと考えています。 △アドバイス 予防教室で認知症のリスクを自覚できれば、対策にも真剣に取り組めます。認知症に無関係な人にこそ参加を促して下さい。 近年は行政や地域包括支援センターなどが主体となり、各地域で認知症の予防教室が開催されるようになりました。対象者や期間・回数、プログラムの内容は地域や主催者によってさまざまですが、高齢の方には積極的な参加をお勧めします。 私の推奨する予防教室の方法は、MSPとTDASの2段階で参加者のスクリーング（ふるい分け）検査を行い、その中から認知症や認知症予備群が疑われる人を早期に発見して、医療機関との連携などで予防や治療につなげることです。 この予防教室も、その基本を踏まえて実施されているようです。教室に参加する人が、「こんなことをして効果があるのだろうか」と不審に思えば、継続して参加してもらえなくなります。その点、TDASによる客観的な評価があれば、参加者にも効果が分かりやすく、運営する側も「よくなっているから続けましょう」と自信をもって言えます。 私（著者）が予防教室の開催に期待するもう一つの効果は、認知症の真の意味での啓発です。私は呼んでいただければどこでも認知症予防の講演をしますが、なかなか予防の実践にはつながりません。それは、ただ聞くだけの講演会では、参加者は「認知症になったらいやだな」と思うだけで、いわば他人事の域を出ないからです。 その点、予防教室に参加して実際にTDASを受けた人は、客観的な評価を目にして、認知症を自分の問題として真剣に考えるようになります。ですから予防教室では、認知症に関心を持たない人にも参加をいかに促すかが重要です。参加さえして下されば、予防の大切さを実感してもらえるはずだからです。 この看護師の方が指摘されているように、認知症への偏見や無関心は、全国どこの地域にも存在します。主催・運営する側にはなんとかこの壁を乗り越えていただき、本書の読者の皆さんには理解と協力をお願いしたいと思います。そして今後さらに予防教室が増えていくことを願っています。 |