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PART2 認知症ってどんな病気？（抄） 認知症には中核症状と周辺症状があります。 ◆よい環境で過ごせば、周辺症状は現れない 1 中核症状 記憶障害：新しいことが覚えられなくなる。 見当識障害：時間や場所、人の顔や関係性などが分からなくなる。 実行機能障害：物事を順序よく実行できなくなる。 判断力障害：物事を理解できず、的確な判断・決断ができなくなる。 言語障害（失語）：言葉が出ず、会話が難しくなる。 失行：体がうまく動かせなくなる（麻痺とは異なる）。 失認：見えている物が何か認識できなくなる。 2 周辺症状 暴言・暴力：大きな声を出したり、乱暴な行為をする。 徘徊：一人で外出してさまよい、家へ帰れなくなる。 幻覚：実際に存在しない物が、リアルに見える。 妄想：物を盗まれた、浮気されたなどと訴える。 睡眠障害：夜に眠れなくて、歩き回る。 不安・焦燥：不安げな様子をしたり、すぐにイライラする。 うつ状態：何に対しても、意欲が湧かない。 せん妄：軽い意識障害。幻覚や興奮、不安などが急に起こる。 異食：食品以外の物を口に入れる。 過食：食事をしたことを忘れて、食べ過ぎる。 不潔行為：便をいじったり、壁にこすりつけるなど。 介護への抵抗：入浴や．衣服の着脱の拒否など。 多弁・多動：不必要にしゃべったり、動き回ったりする。 ◆認知症の主なタイプ 1 アルツハイマー型 現在、日本人に最も多い認知症で、全体の約半数を占めます。女性の方が多く、男性の1．5〜2倍。脳の海馬が障害を受けて物忘れが始まり、ゆるやかに悪化します。 ＜特徴的な症状＞ 初期段階ではうつ的になることもあり、ある程度進行すると楽観的になる。 体を動かすことに障害はない。 物忘れより先に、嗅覚が衰えて臭いが分からなくなる。 物を盗まれたなどの被害妄想が起こる。 事実と異なることを話すことがある。 2 血管性 アルツハイマー型の次に多い認知症で、脳血管障害などで脳細胞の一部が障害を受けて発症します。小さな脳血管障害が再発するたびに、段階的に悪化します。障害を受ける脳の部位によって症状に違いがあります。 ＜特徴的な症状＞ 何ごとにも意欲をなくし、悲観的になる。 手足の麻痺などの運動障害が起きる。 些細なことですぐに泣きだすなど、感情をうまくコントロールできない（感情失禁）。 3 レビー小体型 血管性に次いで三番目に多い認知症で、脳内にレビー小体という物質が現れ、神経細胞が障害を受けます。症状はアルツハイマー型と似ていますが、幻覚を見たり、運動機能の障害があるのが特徴です。 ＜特徴的な症状＞ 物忘れはあまりひどくないことが多い。 リアルでハッキリした幻覚を見る。 手足のふるえや体を思うように動かせず（パーキンソン症状）、転びやすくなる。 調子のよいときと悪いときの差が大きい。 睡眠中に大声で寝言を言ったり、体をばたつかせたりする。 4 前頭側頭型 脳の前頭葉や側頭葉が萎縮して発症します。初期には物忘れはあまり目立たず、今までと全く性格が変わったように、極端に自分勝手になります。 ＜特徴的な症状＞ 何時も決まった行動をとりたがる（常同行動）。 初期には過食などの食行動異常が多い。 無神経な発言をするなど、他人の気持ちを配慮しない。 信号無視や万引きをするなど、社会ルールを守らないことがある。 |